学長あいさつ

人間性あふれる真の豊かさを支える

　国際武道大学を創設した、松前重義が影響を受けた内村鑑三は『後世への最大遺物』の中で、誰もが後世に遺せる最大の遺物は、品格ある勇気に満ちた人生だと述べています。

　どのような時代にあっても、うつむかず、希望を見いだし前に進む。そのような品格のある勇気に満ちた人生を歩むのが、武道人、スポーツ人です。どんなにつらい稽古や練習であっても、途中で諦めないトレーニングを重ねてきた人達だからです。まさに松前重義がそういう人生を送った人でした。

　コロナ禍が始まる前から、未来が予測できない時代が到来したと言われてきました。時代は不安定で不明確で複雑で曖昧で、各国政府も大企業も専門家も、さまざまな予測を外したのです。コロナ禍が終焉しそうだと思ったら、今度はウクライナ戦争が始まり、未だに先行きは不透明です。そして、多くの人々が、日本が先進国の中で最も低成長であることを嘆きます。
　しかし、ずっと以前から、先進国の成長率は停滞していました。そのことは、決して悲しむべきことではなく、人類が産業革命以降に追い求めてきた物質的豊かさを、先進諸国が実現して、成熟した証拠ともいえます。

　このような成熟した社会において、物質的豊かさだけでなく、真に人間性豊かな生活を実現するのが、武道?スポーツだと考えています。心と体を一体として捉え、最も身近な自然としての心身を、生涯にわたって健康に保つすべとなるからです。そして、その豊かさは、他者と分かち合っても減ることはなく、むしろ増えるものであるはずです。

「武道?スポーツで社会を豊かにする」ことこそ、国際武道大学の使命です。
国際武道大学はこれらの実現に向けて、教育?研究、社会貢献活動を展開して参ります。

国際武道大学
学長　松井 完太郎